B-Future News 2014年5月号

「施設をきれいに、かつ環境にやさしく」

『環境に配慮した清掃』を考える時、清掃全体を考える必要がある。使用後のリサイクル商品の取り扱い、安全なケミカル製品、今までとは違う作業工程、環境への影響を最小限にする業務遂行のためのスタッフへのトレーニングなど、全てのことが、『清掃全体』に含まれる。よく耳にする「害を及ぼさない Do No harm」という言葉が浮かんだ。しかし私は「環境に優しい」という言い方の方が実は好きだ。なぜなら、(触媒コンバーター搭載だが)ガソリン駆動の車を手放したり、飛行機での長距離旅行を諦めたり、使い方を誤れば命を落としかねないほどのパワーを持つ病原菌除去除菌剤をやめて環境配慮型の除菌剤に変えようとは思わないからだ。

清掃の第一線で業務を行うスタッフが必ず認識すべきことは、力を増す『病原菌の軍隊』に対して最終戦線で戦っていること、それに加えて、次世代のために環境を守るべく最良の製品を使うという使命を果たしていることだ。『清潔な』オフィス、店舗、学校、空港、その他の人が利用する施設では、言うまでもなく、社会生活を営むための生産性と持続性が守らなければならない。衛生状態が悪いことが原因で、社会に多大な悪影響を及ぼしたことが歴史上何度もあったことは周知のとおりだ。過去にネズミやノミの繁殖、水の汚染、不適切なゴミ処理がいたるところで起こった結果、ヨーロッパで黒死病が蔓延し、何百万人も命を落とした。原因と結果について目を向けなかったツケなのだ。このような失敗を少なくとも地域レベルで繰り返さないため、私達が犯しているほんの少しのミスを断つことが必要だ。

清掃や衛生状態が不十分な場合、頭痛、発疹、喘息、目・鼻・喉の不快感、集中力の欠如、熱、咳、病気の伝染が起こり、その結果、生産性が断たれてしまうのだ。多くの人が手を正しく洗うことや複合汚染を防止することについて真剣に考えていないかもしれない。

環境に優しい清掃は、環境への悪影響が最小で、かつ環境に対しての安全性が最大であると私は感じる。

「ケミカル製品の安全性のコツ」

清掃業務を請け負うスタッフにケミカル製品の安全な取り扱い方について教えることは(そのケミカル製品が危険なものであるなしにかかわらず)、スタッフを守るうえで、またお客様が不必要にケミカルに触れたことが原因で怪我や死亡事故を起こさないためにも大変重要なことである。業務を行う際に、その業務規模に関わらず必ず守る重要項目として押さえておきたいのは、だれが業務につく場合でも同じ配合、充填方法、貯蔵方法、運搬方法でケミカル製品を扱うことだ。色分けによるコードやラベルもまた重要である。

スタッフは手元にあるケミカル製品がどんなものであれ利用するし、時々家から持ってきたお気に入りの製品を使うことがあるかもしれない。その現場で使用することが許される製品について、すべての製品がきちんと現場にあるか、必ず監視することが肝要である。よくある間違いに、スタッフが良かれと思って漂白系ケミカル製品と松の香料を混ぜたり、『洗浄力を上げるために』アンモニアと混ぜたりしてしまうことだ。結果、人間にとって致死的な煙を発生させてしまったり、修正ができないようなダメージを表面にあたえてしまったりするのだ。

スタッフにはあらゆる場面で使われるケミカル製品各種についての講習をきちんと受けさせること。極端な例を挙げれば、例えば便器に使う製品は決して木の表面に使うべきではない。深刻なダメージを与えてしまうからだ。いつもMSDSに目を通してその指示に従うこと。全ての製品のラベルが付いている状態にして、安全に保管すること。希釈割合は監督者の特別な指示がない限り、ラベルに書かれているとおりにすること。ケミカル製品を希釈する時、水が唯一の希釈に用いられる液体である。ケミカル製品を他とは分けて安全に保管するというのは、つまり棚のどこに、どのように保管されているかがとても重要であるということだ。

スタッフが化学やpHについて詳しく知っておく必要な必ずしもない。まれにしか使わないケミカルはスタッフの手にとどかないところにおいておくことも必要である。読者は、この件の専門家にアドバイスを乞うこともお薦めしたい。最初の一歩として前述のアドバイスを活かして欲しい。

Website Cleanlink News (Mickey Crowe 著)記事より抜粋